発達障害

発達障害とは

発達障害とは、先天的な脳の発達特性によって、日常生活や社会生活に困難を感じる状態を指します。
代表的な発達障害には、自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠如・多動症(ADHD)、学習障害(LD)などがあります。これらの障害は、適切な支援や治療によって、本人の特性に合った生活を送ることが可能です。

1. 発達障害の種類と特徴

発達障害イラスト

発達障害にはいくつかの種類があり、それぞれ異なる特徴を持っています。

  • 自閉スペクトラム症(ASD:Autism Spectrum Disorder)

     ・コミュニケーションや対人関係に困難を感じる
     ・こだわりが強く、特定のルールや習慣を重視する
     ・感覚過敏や鈍麻がある(音や光に敏感、痛みに鈍いなど)

  • 注意欠如・多動症(ADHD:Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder)

     ・不注意(忘れ物が多い、集中が続かない)
     ・多動性(じっとしていられない、衝動的に行動する)
     ・衝動性(順番を待てない、考える前に発言・行動してしまう)

  • 学習障害(LD:Learning Disabilities)

     ・読む・書く・計算するといった学習能力の一部に困難がある
     ・知的な遅れはないが、特定の分野で著しい苦手さがある
     ・視覚や聴覚の情報処理に問題を抱えることがある

2. 発達障害の原因

発達障害の明確な原因は解明されていませんが、以下の要因が関係していると考えられています。

               

    脳の機能的・構造的な要因


    ・神経伝達物質の異常(ドーパミン、セロトニンなど)
    ・脳の特定部位の発達の違い(前頭葉、扁桃体など)


    遺伝的要因


    ・家族内での発達障害の傾向がある
    ・遺伝による神経発達の違いが影響


    環境的要因


    ・妊娠中の母体の健康状態(栄養不足、感染症、ストレスなど)
    ・低出生体重や早産




3.発達障害の症状

発達障害の症状は多岐にわたり、以下のように分類されます。

  • 【 身体的な症状 】

    • ・感覚過敏
      (音・光・匂い・触感に対する過敏な反応)
    • ・運動のぎこちなさ
      (細かい作業が苦手、バランスがとりにくい)
    • ・筋緊張の異常
      (力の加減が難しい、すぐに疲れる)
    • ・胃腸の不調
      (ストレスによる腹痛や便秘・下痢の繰り返し)
  • 【 精神的な症状 】

    • ・強い不安感や抑うつ
      (予測できない変化に対する強いストレス)
    • ・集中力の低下
      (注意が散漫になりやすい)
    • ・感情のコントロールが難しい
      (怒りや悲しみが爆発しやすい)
    • ・自己肯定感の低下
      (周囲との違いを意識しやすい)
    •                
  • 【 行動面の症状 】

    • ・コミュニケーションの困難
      (相手の気持ちを読み取るのが苦手)
    • ・こだわりが強い
      (特定のルールや習慣を変えられない)
    • ・多動や衝動的な行動
      (じっとしていられない、思いついたらすぐ行動する)
    • ・学習の偏り
      (特定の分野が極端に得意・苦手)
    •                



4. 発達障害の診断

発達障害の診断には、医師や心理士による多角的な評価が必要です。
また、発達障害の症状がみられる場合、ストレスが溜まっていたり、うつ病を発症していたりするケースが多くみられるため、当院では症状によってはストレス測定や光トポグラフィー検査をご案内しています。

問診・家族からの聞き取り

                     
  • ・幼少期からの発達や行動の特徴について保護者や本人から詳しく聞き取る
  • ・生活の中での困りごとや、学校・職場での適応状況を確認


  • 発達検査・知能検査

                         
  • ・WISC(ウィスク) や WAIS(ウェイス)などの知能検査を実施し、認知の得意・不得意の傾向を分析
  • ・新版K式発達検査 など、年齢に応じた発達の評価も行う


  •             

    行動観察・チェックリスト

                         
  • ・DSM-5(精神疾患の診断基準) をもとに、ASDやADHDの診断基準を満たしているかを評価
  • ・AQ(自閉症スペクトラム指数) や CAARS(ADHD評価尺度) などの診断ツールを活用


  •             

    QEEG検査


    脳波を可視化する検査です。検査で得られたデータをデータベースと比較することで、発達障害などの統計的な脳の特徴を調べることができます。

    光トポグラフィー検査
                 

    ストレス測定


    自律神経バランスを測る機器を使用して、現在のストレス状態を調べます。



    ストレス測定

    光トポグラフィー検査


    脳の血流量を測り、血流量の変化パターンからうつ病かどうかを可視化する検査を行います。

        

    光トポグラフィー検査

    5. 発達障害の治療法

    発達障害は完治するものではありませんが、適切な支援により生活のしやすさを向上させることができます。

                   

      ① 環境調整・支援


    • ・仕事や学校での合理的配慮(座席の配置、課題の調整など)
    • ・日常生活のルールやスケジュールを明確にする
    • ・感覚過敏への対応(イヤーマフ、サングラスなどの使用)
    • ・学校や福祉機関での特別支援教育
    • ・ソーシャルスキルトレーニング(SST)で対人関係スキルを向上


    •                 

      ② 認知行動療法(CBT)


    • ・衝動的な行動をコントロールする方法を学ぶ
    • ・不安やストレスを軽減するスキルを身につける


    • ③ 薬物療法(必要に応じて)


    • ・ADHDの症状を緩和するための中枢神経刺激薬(メチルフェニデートなど)
    • ・不安や抑うつを軽減するための抗不安薬や抗うつ薬


    • ④ TMS治療(経頭蓋磁気刺激法)


      脳に磁気刺激を与え、ストレスやうつ症状を改善する治療法です。発達障害に伴う二次的なうつ病などの軽減が期待できます。




    TMS治療




    6. 発達障害の予防と再発防止

    発達障害自体を予防することは難しいですが、早期発見や適切な支援を行うことで、生活の困難を軽減できます。

                   

      ✔️ 早期発見と適切な対応


    • ・幼児期から発達の様子を観察し、気になる場合は専門家に相談
    • ・保育園・幼稚園・学校と連携し、支援を受ける


    • ✔️ 家庭や学校でのサポート


    • ・子どもの特性に合った学習・生活環境を整える
    • ・得意なことを伸ばし、自信を育てる
    • ・無理に一般的な基準に合わせようとしない


    • ✔️ ストレスを減らす工夫


    • ・感覚過敏のある人は静かな環境を作る
    • ・ルールを明確にし、予定を事前に伝える



    初診の方はこちらから初診のご予約はこちらから

    web初診予約

    ※再診の方はお電話でご予約ください

    0120-809-270(電話受付時間 10:00~19:00)

    7. まとめ

    発達障害は、個々の特性に応じた支援を受けることで、より良い生活を送ることが可能です。

    • 早期に本人の特性を理解する
    • 無理のない環境を整える
    • 適切な支援を受ける

    発達障害の理解が進むことで、個々の能力を最大限に活かし、社会で活躍できる環境づくりが進むことが期待されます。


    その他の症状別一覧はこちら

    トップに戻る